大判例

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東京地方裁判所 昭和34年(モ)1025号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実と判断〕昭和二九年一一月三〇日青山妙子が岩崎周次郎に対し金二〇〇万円を弁済期昭和三〇年二月二八日と定めて貸与し、この貸金債権担保のため本件建物に抵当権の設定を受け、かつ期限に支払がないときはその譲渡を受くべき旨の代物弁済の予約をして、抵当権設定登記及び代物弁済予約による所有権移転請求権保金の仮登記をした。そして債権者は昭和三一年八月一七日青山から右貸金債権と抵当権及び代物済契約に基く権利の譲渡を受け、権利取得の附記登記をしたが、一方債務者は昭和三二年二月六日売買名義で岩崎から本件建物の譲渡を受け、同月七日所有権移転登記を経て、同年五月五日債務者の申出を受た債権者は、自己のための前記附記登記並びにその主登記の抹消登記手続をした。その後債権者は債務者に対し昭和三三年一二月二七日前記貸金の支払を催告し、かつ代物弁済の予約完結の意思表示をして、本件建物の所有権を取得したとして、所有権移転登記請求権保全のため、債務者に対し処分禁止の仮処分を求めた。

判決は、右の債務者に対してなされた代物弁済予約完結の意思表示は何の効果も生じないことを次のように説明し、本件は被保全権利の存在に関する主張自体に理由がないとして、さきの仮処分決定を取消し申請を却下した。曰く、

「元来代物弁済の予約に基く権利関係は後にその目的物が第三者に譲渡された場合においても当然には第三取得者との間に移転すべきいわれはないから、予約完結権の行使は弁済者たるべき予約の相手方に対してなすべきものであつて、第三取得者に対しなしてもなんら効力を生じるものではなく、又予約完結による目的不動産の所有権移転登記も弁済者にこれを求めるならば格別第三取得者にこれを求めるのはおよそ筋違いという外はない。すなわち代物弁済は債権法上債権者と弁済者との契約により成立するものであつて、債権者と第三取得者との関係は二重売買における買主間の関係と異るところはない。従つて代物弁済が成立した場合においても所有権移転請求権保全の仮登記があればこれに基く本登記を経由し第三取得者に登記の抹消を求め得る筋合であるが、かような仮登記を欠くときは第三取得者の登記を抹消し得ない限り代物弁済による所有権取得登記もこれをなし得ないことは当然である。してみると、債権者の前記主張事実だけでは、債権者のためその主張のような登記請求権が生じる理由はない。」

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